

2009.Dec |
| 鉄道車両本部 技術総括部 車体設計部 車体グループ |

鉄道に限らず、乗り物にとって"衝突"に対する安全性は、避けて通れない非常に重要な問題です。だから、衝突をいかに避けるかと同時に、衝突した際の衝撃からいかに人を守るかというアプローチも重要になる。そうした観点から私は、衝突時にできるだけ乗客に衝撃の伝わらない鉄道車体の設計に取り組んでいます。
現在私が対象としているのは米国向けの車両です。米国では衝突対象が大型トレーラーなど大きなものになる可能性があるので、当然、衝突エネルギーも甚大になるわけです。だから、ある程度の荷重がかかっても変形しないことに加え、衝撃を吸収するためにあえて壊れる箇所も必要になってくる。そうしたバランスのとれた構体をつくる発想が大切です。
もちろん実際に車体を衝突させる試験はなかなかできるものではありません。従ってパソコンでシミュレーションすることが中心になります。そのために解析モデルをつくり、シミュレーションをして評価し、お客さまが要求する規格を満たしていくことになります。

実は学生時代にも、鉄道衝突時の乗客の安全性について研究していました。衝突時の衝撃を解析するソフトをプログラミングし、人体への影響を評価。人体の強さの数値化等、かなりこだわって進めたので、それ相応に納得できる成果を得ることができました。この研究体験が現在の仕事に活きているのは、間違いありません。
一方、実際の設計業務においては、どこに鉄骨を入れて枠組みをつくるか、また金属素材の強度とともに、溶接性・加工性を考慮して、どの場所にどういう素材を用いるかといったことも検討しなくてはなりません。とは言え、素材については私の専門外。製造部の専門家にアドバイスをもらいながら、勉強しています。
それにいくら設計がうまくいっても、社内の設備で加工できない素材であってはしょうがないので、こうして製造部とコミュニケーションを密にしておくのはとても大切なことなのです。

日本ではいかに衝突させないかが重点的に考えられ、米国では衝突が起こった場合に人の命を守ることが重視されています。そうした方向性の違いはあるけれど、根底にある安全性へのこだわりは日本も米国も変わりはありません。当然私も「鉄道は安全な乗り物である」という、人々の信頼に応えたいという思いが大きなモチベーションになっています。
今はまだ先輩から引き継いだ案件が中心ですが、いずれは自分でゼロから車体設計を手がけたいと思っています。衝突安全性の確保は車体設計における重要なテーマの一つですから、このアプローチをきっかけに、車体設計のメインの部分を担当することもあり得るでしょう。
国内・海外の衝突事例を研究し、安全性を究極まで突き詰めた車体設計に取り組んでいきたいと思います。
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鉄道車両本部 技術総括部 車体設計部 車体グループ |
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【中尾幸司 Koji Nakao】
2007年入社 理工学研究科 機械工学専攻
学生時代から鉄道衝突時の安全性研究に取り組む。入社してすぐに米国の鉄道車両の車内銘板(“No Smoking”等のプレート)の設計を担当。完成車両を写真で見たときの感動は、今も忘れられないという。
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