 
2007.Sep
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 転勤族だったので、子どもの頃から大阪、福岡、愛知、岐阜、そして大学時代の東京と転々としてきました。でも、引っ越すことがイヤだと思ったことはなく、むしろ全国どこに行っても走っている鉄道に興味を持ち、好きになりました。就職活動の際、そのように趣味対象である鉄道を仕事にしてもよいものか、少々考えましたが、鉄道事業者に就職した鉄道好きの先輩が言っていた「好きこそモノの上手なれ」という言葉を自分も信じてみようと思ったのです。鉄道といえばまず思い浮かぶのは鉄道事業者ですが、私はサービスを提供する鉄道事業者よりも「モノづくり」に興味があり、鉄道車両以外の事業もすべて社会のインフラ整備にかかわっている当社に好感を抱き、就職先として選びました。
とはいえ、鉄道ファン・鉄道マニアとしての知識と仕事上の知識は別です。私はTV東京系「TVチャンピオン」の新幹線王という企画で、運にも恵まれV2を達成しましたが、そのことと仕事上必要な知識がそのままリンクしているというわけではありません。「TVチャンピオン」では目隠しをして新幹線の椅子に触り、座り心地や装備で何系新幹線かを当てるなど、かなりマニアックな出題もありましたが、実際の業務ではそれとはまた異なる意味での知識や情報を元にした判断が求められます。例えば私が現在担当している電線の場合、電車の床下や車端部は電線だらけなので、1両で何万メートルもの電線を使うことがあります。しかし電線の導体に使う銅は相場モノなので、数年前は1tあたり22万円だったものが、2007年8月後半には何と1t
92万円まで高騰。チリの銅山でのストライキや中国の堅調な需要により需給が引き締まっているためで、以前と同じ鉄道車両でも同一の価格では到底製造できない状況になっています。つまり、仕事では素材の価格変動など、電車の素材や構造と社会情勢や社会環境との関係を踏まえたうえで、より望ましい車両造りのために必要な対応をしなければなりません。そうするとどうしても純然たるマニア知識とは異なるものも必要とされます。

入社から2年弱は現品課で、外部からの部品の受け入れ、社内への入荷情報の発信、各製造現場への部品の払い出しといった業務を行っていました。一言で部品や原料といっても、ガラス、ゴム、アルミ型材、電機品など、種類や点数は膨大ですから、どんな部品から何ができるかを知るためには適した仕事です。また、当社では鉄道車両を70以上のタクト(工程)で段階的に作業を進めていくことによって完成させますから、何がいつごろ必要なのか、やっていくうちに見当がつくようになります。実際に外装、内装、電装など、ラインの製造現場に行くと各タクトでの動きがわかり、仕事を進めるうえで勉強になります。現品に触れて、現場もよくまわっていた当時の経験が、今の私の土台になっていると思います。
現在は資材部第一契約グループに勤務し、現品課で学んだことも納期管理や購入手配に活かしています。今は電線、車内外の案内板である銘板・帯、ボルト、ナット、油脂等を担当し、納期、品質、コストを総合的に判断して発注するという立場にいるので責任重大です。納期について言えば、必要なときに必要な部品や原料がなければ作業が止まってしまいますが、何でも早く納入されればいいというわけでもありません。モノの単価を下げても外部倉庫等での保管費用がかさんでは意味がないわけで、ムダのない適正な管理を実施することが効率化の第一歩。合理的な資材調達を担う者として、現場の知識を活かし、適正な管理を徹底しています。

担当する資材については、コスト管理も私の仕事の一つなので、業界最安値での仕入に挑戦することは、社員として充分念頭においています(笑)。ただ今後の展望として、私は車両の仕様を決めていく設計初期の段階から積極的に関わり、資材担当者の目から、適切な価格、品質を持ったモノに置き換えるというアプローチの仕方でもコストダウンを図っていきたいと考えています。現在、組織横断的なプロジェクトチームを作り、こういった取り組みもしていますが、まだまだ不十分なように感じます。また、「本当の敵は社内にいる」という言葉がありますが、単に仕入先に値引きをお願いするだけでなく、“図面上部品点数は減らせないか?”“製造での破損補充・予備の購入量が過剰ではないか?”など、従来資材の担当者としてなかなか切り込めなかった観点からも、ムダのカットに取り組みたいと思います。コストとは「数量×単価」によって導かれますから、いくら安い単価で仕入れていても、数量にムダがあっては意味がありません。
以前から設計や製造の人達との交流は必要だと思っていたので、現場を見るだけでなく、時には一緒に飲みに行くこともありますが、そういった人達が資材に携わる人間をどうとらえているのか、本音を聞いてみるのもためになります。市場での競争力のある製品を生み出すために、部署を超えて連携を図っていきたいと思います。
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【若原 亨 Toru Wakahara】
職場から徒歩5分の寮で暮らしているものの、平日は仕事中心で、プライベートライフは週末と決めている。週末は実家に帰るか、東京や大阪へ出かけることが多く、あまり家でじっとしていることのないアクティブ派。そのアクティブさは、TVチャンピンで2連覇を達成した「新幹線王」の原点でもある。 |
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