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2011.08

TUC型ユニットキャリヤの開発と震災被災地での活躍


TUC型ユニットキャリヤ

 第三世代ユニットキャリヤ(TUC型ユニットキャリヤ)の開発

 この度、輸機・インフラ本部では株式会社ミック殿向けに第三世代ユニットキャリヤ(TUC型ユニットキャリヤ)を開発し、納入しましたので紹介します。

 ユニットキャリヤは、各ユニットの走行、操舵、ジャッキを連動させ、編成した状態でワンマン運転にて、橋梁などの長尺物やプラント建屋などの超重量物の輸送および据付けが可能で、単車型のキャリヤに比べて、ハード面およびソフト面で複雑な構造となっています。 車両の要素は、台車部分の3軸キャリヤ、エンジンなど駆動部分のパワーユニット、運転室部分のキャブユニットと分かれ、組み合わせ次第でいろいろな積載物に対応が可能です。

 1987年に初代型(UC型)を開発し、1999年に機能アップした第二世代型(NUC)を開発し、現在までに68台の納入実績があります。

 今回の第三世代型(TUC)型の開発では、
@現場への輸送を考慮して積載量を減らすことなく幅を従来の3,200mmより3,000mmにサイズダウンしたこと、
A編成モードの自由度を大幅に向上させ従来は対応できなかった平行四辺形や台形の編成を可能にしたこと、
B現場での作業性の向上を図るために運転室内操作と同様の操作が可能な無線リモコンを開発したこと、
C編成作業の負荷低減を図るために、車両間のホース接続を極力減らしたこと、
等の機能アップも図りました。

 TUC型ユニットキャリヤ 震災被災地で活躍

 平成23年3月11日に東北地方を襲った巨大地震は各地の沿岸地域に甚大な津波の被害を与えました。その中でも宮城県気仙沼市は全国でも有数の漁業基地でしたが、港湾周辺だけでなく市街地まで津波の被害を受け、多くの死傷者を出しました。その際に港に停泊していた大小多くの漁船が津波により押し流され、陸上に取り残され、「取り残された漁船を如何に海に戻すか?」が課題となりました。

 このような状況の中、(株)ミック殿から「漁船を岸壁まで輸送する」提案がなされ、TUC型ユニットキャリヤが活躍をしましたので報告します。

 打ち揚げられた大型漁船の輸送作業は5月末から準備工事が始まり、6月15日〜17日に1隻目の輸送が行われました。今回の輸送は当キャリヤの初仕事ということもあり、当社はミック殿との間で事前の打ち合わせを綿密に行った上で、万全の体制で臨みました。 輸送作業は15日にクレーン2基で漁船を吊り上げ、キャリヤがその下に進入、キャリヤ荷台上の架台に漁船を積み込むというものでした。

 16日にはマスコミ各社関係者(TV局、通信社、カメラマン)が見守る中、通行規制をされた県道をキャリヤが横切り、漁船を気仙沼港岸壁まで搬送。翌17日の午前には再度クレーンでキャリヤ上の漁船を吊り上げ、約100日ぶりに無事海に戻りました。

 今回の輸送はキャリヤを使用して不安定な大型漁船を海に戻すという初めての試みであり、非常に注目を集めました。特に秋のカツオ漁に間に合うように復興を進めている気仙沼の様子とともに、メディアで多く取り上げられ、3日間を通じて多くのマスコミが当社製のTUCの雄姿にカメラを向けていました。