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ありがとう 300系新幹線

 平成24年3月16日(金)、初代「のぞみ」として登場した300系新幹線が、その20年の活躍に幕を降ろしました。当社でも全1,120両のうち、業界最多の390両を製作しました。今回はその300系に対する一利用者としての想い出を綴ってみます。

 300系がデビューした頃、「のぞみにのったよ。」というキャッチコピーのCMが放映されていました。300系に乗った子供が車窓を見ながら「すげぇ・・・!」とつぶやくCMなのですが、当時このCMの子供と同じぐらいの年齢だった自分も、まさに同感でした。

先頭形状や配色が目新しいだけでなく、車窓の流れるスピードはこれまでの0系や100系といった車両では体験したことのない、未知の感覚に子供心に感動した覚えがあります。また、加速する時の独特の音(VVVFインバータの磁励音)や間接照明の内装にも、近未来的な印象を受けました。

平成5年には、東海道新幹線のパーサーにスポットを当てたテレビドラマ「新幹線物語'93夏」が放送されました。300系がメインで登場するということで、当時小学校1年生であったにも関わらず夢中で見ていました。 家族旅行でも、中学校の修学旅行でも、新幹線に乗る時はいつも300系でした。300系は旅の思い出に欠かすことの出来ない車両となりました。

学生の時はお金がなかったため、新幹線を利用する機会はほとんどありませんでしたが、社会人となってからは、帰省の際に愛用するようになりました。入社したての頃は、まだまだ300系が「ひかり」や臨時の「のぞみ」の運用に入ることも多く、乗車機会も多かったのですが、N700系の増備に伴って次第にその機会は減少していきました。 乗り心地は、後継の700系やN700系を比較すると、300系は流石に分が悪く、最後尾車両のトンネル内走行中の横揺れは特徴的なものでした。しかし、本気で270km/hで走っているのを体感できるのもこの300系ならではであり、愛嬌を感じました。

平成24年3月16日、300系のさよなら運転「ありがとう300系のぞみ号」が東京→新大阪間で実施されました。ふと時刻表を見ると、名古屋発車時刻が12:32。ちょうど会社の昼休み時間帯であることに気づき、昼休みの1時間の間に名古屋駅まで往復し、最後の雄姿を見届けてきました。

ホームは鈴なりの鉄道ファンで溢れ返り、上空には報道陣のヘリコプターが飛ぶ中、300系はゆっくりと姿を現しました。そして数分の停車の後、警笛を鳴らして新大阪に向けて300系が動き出すと、ホームからは「ありがとう!」「お疲れ様!」といった歓声が沸きあがりました。

  数々の想い出をありがとう、300系。幼少時代から今日に至るまで、私の人生を支えてくれた300系に、心から感謝したいと思います。 

 

 

300系新幹線300系新幹線は、新幹線の時速270km運転のために開発された車両です。アルミ合金車体の採用で約25%の軽量化、空力特性が優れた車体形状とし省エネ化や騒音低減も果たしました。初代「のぞみ」用車両として1992年にデビューし、東海道・山陽新幹線で活躍してきましたが本年3月で引退。当社ではJR東海向け374両、JR西日本向け16両の製造を担当しました。



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