鉄道車両トピックス
2000.12.22
米メトラ向けに二階建客車300両を受注〜イリノイ州史上最大の客車調達〜
【概 要】
日本車輌製造株式会社(本社:愛知県名古屋市、社長:松田和久)と住友商事株式会社(社長:宮原賢次)の2社連合は、今般、住友商事の米国現法である米国住友商事会社(本社:ニューヨーク州ニューヨーク市、社長:横畠啓太郎)を主契約者として、北東イリノイ地域鉄道公社(通称『メトラ』、本社:イリノイ州シカゴ市、Chairman:Jeffrey R. Ladd)から二階建客車300両を受注した。
受注金額は約4億ドル(約450億円)で、イリノイ州史上最大(米国でも最大級)の客車調達となる。
今回納入するステンレス製二階建客車は、通路部分が吹き抜けになっている所謂「ギャラリータイプ」と呼ばれるユニークな車種で、約140の座席を有する。
1950年代から60年代にかけて導入された老朽車両の取替え、及び北中央線・西南線のサービス増強に投入される予定。
2002年春より3年間に亘って日本車両で車体を製作し、順次米国へ輸出して米スーパー・スチール社(ウィスコンシン州ミルウォーキー市)の工場で日本車両の指導・監督の下、本格的な最終組立を実施する。
完納は2005年末を予定している。尚、この客車には、身障者用車載リフトやGPSを利用した最新列車運行管理システム等の米国製部材を積極的に採用している。
【背 景】
シカゴを中心とするイリノイ州北東部は人口増加に伴う交通渋滞が深刻化しつつあり、既存鉄道路線の輸送力増強の必要性が指摘されていた。
今回の大規模車両調達はこの要請に応えるものであり、イリノイファーストプログラムと呼ばれる総額120億ドルの州政府資金の一部が本件に充当される。メトラでは同資金を利用し、機関車・電車の調達、信号・軌道設備の改良や既存線の延伸も計画している。
日本車両は、国内外で鉄道関連ビジネスを積極的に展開しているが、特に米国では住友商事と組み、1998年から99年にかけて、カリフォルニア州のベイエリア鉄道公社から二階建車両20両、北インディアナ通勤輸送公社から通勤電車10両を受注するなど、これまでに約600車両の電車・客車の納入実績を誇っている。92年にはメトラからも二階建車両177両を受注しており、同社から日本車両製車両の品質・技術力が高く評価された結果、加ボンバルディア社、仏アルストム社の米国子会社を抑えて、今回の再受注となった。
米国は好況を反映して、引き続き連邦・州政府資金による鉄道プロジェクトが活発であり、しかも自国の鉄道車両メーカーを持たないことから、鉄道産業の先進国である日本・欧州メーカーにとって、今後とも最も大きな市場になっていくと考えられる。
日本車両と住友商事は、豊富な経験と実績を基盤として米国市場での受注拡大に一段と拍車をかける。
[鉄道車両本部]