> ホーム > 事業・製品> 鉄道車両 

日本車両の傾斜システム

 日本車両が開発した空気ばねの伸縮を利用した高性能な車体傾斜装置は、曲線区間でも速度を落とすことなく安全で安定した走行をすることができるシステムです。 立席の乗客を含め、全ての乗客に快適な乗り心地を提供します。 

 

システム概要

   本システムは、鉄道車両用の高さ調整弁(以下LV)を用いた、空気バネ式車体傾斜システムです。

主要な構成部品
A 車高制御機能付きLV(LV with Height Changer以下HCLV
B 車体傾斜制御装置
C ブースト装置
車体の傾斜角度は2°です。傾斜システムの構成を図1に示します。
      

各機器の役割

A 車体制御機能付きLV(HCLV)

  1. 空気バネ高さの変動に応じて空気を供給、排気することで、車体を所定の高さに保ちます。
  2. 曲線通過時には車体傾斜を行うため、LVの給排気が止まる中立位置を、外軌側は高く、内軌側は低くなるように制御します。この制御は、LVロッドの長さを見かけ上伸縮させることで行います。その後、通常のLVの機能で、それぞれの空気バネ高さを、オフセットした中立位置にあわせます。(図2) 
               

B 車体傾斜制御装置

  1. 速度センサからの信号を積算して現在の走行位置を算出し、車輪の空転や滑走に起因する距離誤差を、地上子からの情報またはジャイロ情報を用いた曲線検知機能によって補正します。(地点検知機能)
  2. 地点検知機能が計算した現在位置情報と、予め記憶している路線データを基に、適切な傾斜のタイミングを判断して指令を出し、HCLVを駆動します。(傾斜指令演算機能)

C ブースト装置

  • 内軌側の空気バネから外軌側の空気バネへ強制的に空気を移動させる装置です。この装置により傾斜速度を向上させると共に、空気消費量の削減が可能となります。
 

傾斜動作

 曲線における傾斜動作のタイミング模式図を図3に示します。 

バックアップ機能

  本傾斜システムは、次のバックアップを備えています。 

装置 故障時の影響 バックアップ方法
傾斜制御装置 傾斜指令の演算ができない 隣の車両の制御装置から指令を出す
地点検知部 地上子からの情報が得られず、地点検知ができない 後尾車の速度センサとジャイロを使用する
地点検知情報伝送 位置情報を伝送できない 専用のバックアップラインを使用する
HCLV 傾斜指令を受けられない 通常のLVとして使用する
傾斜を行うためには、あらかじめ角度の付いた位置にセットされた専用のバックアップLVに切り替える


■ 台湾鉄路管理局(Taiwan Railways Administration)向け車体傾斜式電車

 台湾鉄路管理局殿(Taiwan Railways Administration)より受注した車両は、日本車両が開発した高性能な車体傾斜装置を備えています。曲線区間でも速度を落とすことなく安全で安定した走行をすることができ、運転最高速度は140km/hの特急車両です。

 参考 ■台湾鉄路管理局殿向け 車体傾斜EMU2000型「普悠瑪號(プユマ号)」納入