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名古屋鉄道(株)殿向け 9500系電車の紹介

名古屋鉄道(株)殿向け 9500系

名古屋鉄道株式会社殿向け9500系通勤電車が完成しましたので、その概要を紹介します。

この車両は2004年から2018年度まで製造した3300系通勤電車の後継車両で、4両編成の車両です。コンセプトは「お客さまサービスのさらなる向上」「インバウンド対応の充実」「安全性の強化」「省エネルギー化の推進」です。第一編成は2019年7月下旬より試運転及び客先内での確認試験が実施され、同年12月1日に営業運転を開始しました。

エクステリアデザイン

3300系をベースとしながらも、名鉄カラーであるスカーレットレッドを前面・側面ともに多く施すことで名鉄らしさを表現しています。先頭のデザインはスカーレットレッドとブラックを塗り分け、前照灯の形状は3300系の優しいデザインからシャープなデザインとしました。横8粒のLEDを縦に3段、斜めに配列した前照灯により、これまでとはひと味違うシャープで精悍な顔つきとすることで、伝統と目新しさを表現しています。

側構体は3300系で実績のあるレーザ溶接を採用し、歪みの少ない美しいステンレス外板としました。

前照灯
尾灯

 

インテリアデザイン

室内はすべての方が利用しやすい空間とスタイリッシュで洗練されたデザインとしました。室内は白を基調としアクセントとして、ドア、天井中央をライトブラウンとしました。また、金属色の押え面を減らす、または同色とすることで、室内の意匠性をより統一感を持たせる仕上げとしました。 優先席エリアは、一般席と識別しやすいように配慮し、座席、床、つり革を異なるカラーとしています。

室内

 

優先席
フリースペース

客室設備  

客室は多くのユニバーサルデザインを取り入れました。車内案内表示器は6か所の入り口のうちの3か所(千鳥配置)のドア上部に設置し、インバウンド対応として従来の日本語・英語表記に加え中国語・韓国語を追加し、駅名にはナンバリングを併記しています。また、名鉄の通勤車としては初めてFREE Wi-Fiを標準装備し、訪日外国人旅行者へのサービス向上を図っています。

ドア上部には赤色LEDによる扉開閉動作表示灯を設置し、車内外のお客様に対してドアの開閉タイミングが分かるようにしています。女性やお子様の利便性向上のため、3300系に対し、つり手の高さを50mm、荷棚の高さを45mm下げています。

全車両に手すり、ヒーター、立席用の腰当てを設置したフリースペースを設けています。また、編成に1台座席下の収納箱に緊急時の避難誘導用の非常はしごを設置しています。 なお犯罪抑止の観点から、今回新たに車内防犯カメラを設置(3台/両)しました。3台のカメラで客室全体を網羅できるので、セキュリティー性の向上に寄与しています。

 

主要装置  

高い信頼性に基づく最新のテクノロジーを積極的に取り入れています。省エネ機器として、VVVFインバータ制御装置に用いるパワー半導体に低損失の炭化ケイ素(SiC)を採用しました。また、主電動機に全閉外扇誘導電動機を採用し、エネルギー効率のさらなる向上を図っています。  

新たに導入した車両状態監視システムは、車両情報管理装置(TICS)、情報送受信装置及び地上装置で構成され、車両故障発生時にはリアルタイムで「故障記録」「車両の状態」を確認することが可能となり、より適切な判断によってダウンタイムの短縮が図られます。また、事故が発生した場合や、異常気象等の際には、運行情報を車内案内表示器にリアルタイムに配信することが可能です。

電動空気圧縮機は、オイルフリー・スクロール式の圧縮機を2台一組で搭載し、冗長性を向上させると共に、潤滑に油を使用しないオイルフリー式によりメンテナンス性の向上を図りました。

最後に、9500系が皆様の快適な足として活躍することを期待すると共に、引き続き高品質な車両製作を行って参ります。

 

 

[ 名古屋鉄道9500系]
[鉄道車両本部]