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小田急電鉄殿向け50000形

 ●小田急電鉄50000形特急電車「VSE」

平成16年 箱根観光の新たな目玉として登場。小田急ロマンスカーの伝統ともいえる展望席が復活、外部色は光の反射により印象が変化するシルキーホワイトにバーミリオンの帯を配しています。台車は連接方式が採用され、空気バネによる車体傾斜を行なう世界初の連接車です。

《グッドデザイン賞受賞》小田急VSE50000形

 

 
 

納入トピックス

2005.3

 日本の代表的観光地の一つである箱根へと運転される特急「はこね」号は、小田急殿の看板列車であり、各時代の最高水準の性能と豪華さを誇るロマンスカーと呼ばれる車両が使われてきました。初代SE車以来、全種類のロマンスカーの製造実績がある当社としても縁の深い列車であるといえます。そして今回、箱根観光の新たな目玉として登場したのが50000形連接特急電車、通称VSE(Vault Super Expressの略:Vaultとは「ドーム型の天井」の意味)です。

 

今回、デザインは岡部憲明アーキテクチャーネットワーク殿(代表は関西国際空港旅客ターミナルの設計などに携わった建築家で神戸芸術工科大学教授の岡部憲明氏)が担当されました。
 外観デザインは、編成全体をひとまとまりのものとして表現されており、床下機器を下部オオイで隠すなど、連続性が重視されたものとなっています。また、丸みのある車体にパール系のシルキーホワイトの塗装を施すことで、見る角度と光の反射によって印象が変化するような工夫がされています。
 側窓は大きな連続窓とし、沿線の街や山々の風景をワイドな視界で堪能できるようになっています。快適な居住空間を確保できるよう天井を極力高くし、アルミ形材を周方向に差し込んで固定するスパンドレルという製品で天井面を構成しています。これに暖色系の間接照明の光が加わることで、温もりと清楚さを感じる美しい空間が上品に演出されています。
 先頭車の最前部に展望席を設け、運転室を二階部に配置する、ロマンスカーの伝統的なスタイルが復活しました。展望室に超大形3次元曲面ガラスを用いることで、車外にいるかのようなダイナミックな展望が楽しめます。また展望室の座席は、通路を挟んだ向かい合わせに座席を向けることにより、ラウンジ風に使うこともできます。

   一般座席はシートピッチを広くとり、5度窓側に向けた配置としています。腰掛はリクライニング時に座面も沈む機構で疲れにくいものとなっています。
 3・8号車には生ビールやカプチーノ等々が味わえるビュッフェスタイルのカフェの他、喫煙ブース、便所・洗面所等のサービス機能が集中的に配置され、天窓やフローリングの床など、一般車とは違った印象の空間となっています。なお3号車には4人グループ向けのサルーン席、8号車には身障者にも対応可能な席があり、車椅子による乗降に利用できる電動スロープ装置が出入口に装備されています。

 各車内には大型液晶ディスプレイを設置し、車内案内表示をしています。また3・8号車にはタッチパネル式の液晶ディスプレイを設置し、前面展望のライブ映像をはじめ、観光地案内など情報コンテンツを利用者による操作で引き出せるサービスもあります。また車内に持ち込んだパソコンで無線LANを使用して車両のサーバーに接続し、同様のサービスが利用できます。

 

構体構造はアルミ中空形材に加え、強度の必要な箇所にアルミ厚板の削り出し材を使用することで、鉄道車両として最大級の側窓開口と高い剛性を両立し、良好な眺望と乗り心地の向上の両方に寄与しています。先頭構体の複雑な形状は3次元CADを活用し、運転台まで含めた連続曲面を構成する総合設計とし、削り出し材の活用で表現しています。
 台車は空気ばねの取付位置を高くした高空気ばね連接台車で、空気ばねによる車体傾斜を行う世界初の連接車となっています。またこれも世界初となる台車枠操舵機能により、曲線通過時のきしり音の低減や線路への負担を減らしています。これらの新機軸により、曲線を走行していてもほとんどそれとわからないような乗り心地を実現しています。

 その他にもご紹介しきれないほどに多くの新機軸や見どころが満載の車両となっています。この春は、乗ること自体が旅の目的と思えるような魅力あふれる新型ロマンスカーで箱根観光にお出かけになってはいかがでしょうか。