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鉄道車両トピックス

2018.3

小田急電鉄殿向け 70000形特急電車

 小田急電鉄(株)殿向け 70000形特急電車

 2018年3月17日、小田急電鉄鞄aは、構想から半世紀となる複々線化工事の完成に伴うダイヤ改正を実施され、華々しく新時代のスタートを切られました。この門出の日にデビューしたのが70000形ロマンスカーGSE(Graceful Super Expressの略:Gracefulは「優雅な」の意味)です。

  GSEの開発コンセプトは「箱根に続く時間(とき)を 優雅に走るロマンスカー」で、2005年に営業開始した白いボディが印象的な50000形ロマンスカー(愛称:VSE)と対をなす看板列車としての役割にふさわしい最高水準の性能と優雅さを目指し、設計・製造を進めて参りました。

 デザインはVSEや60000形ロマンスカー(愛称:MSE)と同じく、建築界でも著名な岡部憲明アーキテクチャーネットワーク殿が担当されました。外観は屋根の曲線を活かした空調カバーや、床下機器を下部オオイで隠すなど、編成の連続性を重視したものとなっています。塗色は薔薇の色を基調とした「ローズバーミリオン」、屋根の色は「ルージュボルドー」、歴代のロマンスカーで使われた「バーミリオンオレンジ」の帯などでカラーリングされ、VSEと好対照の美しい車両となっています。

 ロマンスカーの象徴である展望席は、前面窓が鉄道車両として最大級の前面窓開口部に3次曲面ガラスが採用され、良好な眺望と快適な空調に力点を置いたデザインとなり、ダイナミックな景色を堪能できます。また両先頭車に限り荷棚を無くすことにより、室内空間を広く見せる工夫を行っています。

  デッキ部付近にはラゲージスペースが、各座席の下には国内線機内持ち込みサイズの荷物が収まるスペースが確保されており、さらには各座席にコンセント、車内専用Wi-Fiによる7ヶ国語8言語の情報や、展望カメラ映像の配信、インターネットへの接続環境(無料)、LED照明、高音質の車内放送などが備わっています。中間の4号車には身障者対応トイレ(通称:ゆったりトイレ)があり、通常の車椅子はもちろん電動車椅子による移動が可能な広いスペースや、車販準備室・多目的室・自動販売機などが用意されています。デッキと客室の間の仕切り壁や鴨居には、ガラスや鏡が用いられ、白い人工大理石が一定の間隔で並ぶ全く新しい内装は、住宅のようにリラックスできる空間となっています。 

 小田急70000形 
先頭車両 展望席
 小田急70000形 
先頭車両 内部

 当社の技術も随所に活用され、構体構造は定評あるアルミ中空形材に変化を加えています。車両側面の窓にはVSEやMSEに比べ300oも高い、1000oの連続窓を採用し、流れ行く沿線の季節折々の風景を、存分に楽しむことができる車両となっています。窓を大型化したことによって車体の剛性確保という課題がありましたが、徹底した強度解析を元に、必要な個所にアルミ厚板の削り出し補強材を使用することでこれを克服しています。また、万一の衝突安全性を高めるため、VSEまでは先頭車の展望部に大型の油圧衝突器を備えていましたが、GSEでは衝突解析技術を駆使して、エネルギを衝突吸収部材の塑性変形により吸収する新機構や、先頭座席の乗客の挙動を解析し、ショックを和らげる内装パネルなどが選定されています。 GSEは観光にも通勤にもご利用いただくため、座席数を400席確保したことに伴い(VSEと比べ42席増)、伝統の連接構造から一般的なボギー車両となりましたが、振動の周波数に応じて空気バネの絞り径が適切に調整される「空気バネ周波数感応型可変絞り」と、一体プレス式台車枠を特徴とする「NSシリーズ台車」の国内量産初採用により乗り心地や走行性能の向上に貢献しています。

 
 70000形 NS-101台車

 

 ダイヤ改正に合わせ、GSEは3月17日に第1編成が就役しましたが、2018年度内にもう1編成が加わる予定です。

  新型ロマンスカーGSEで優雅な箱根の旅にお出かけになってはいかがでしょうか。

 

●小田急電鉄 70000形特急電車